
この話は昔書いた寓話を読んでいた方がわかりやすいと思います。
お時間ある時に読んでみてください。
お集まりの皆さん、
私はミラクルラッキー教団の団長兼広報担当のKingと名乗るものです。
今回は教団で登山に行った話をしたいと考えています。
⸻
団員第一号
「団長!今日はピクニックですか?」
団長King
「ピクニックというか…軽い登山です」
団員第一号
「だから装備を準備しろとおっしゃっていたのですね!」
「どの山に登るんですか?」
団長King
「むかしむかし、魔物が巣くうと恐れられていた山に登りますよ!」
団員第一号
「え!?そんなところに…大丈夫なのですか!?」
団長King
「私も若いころ何度も登ったことがありますし…」
「スーパー量子コンピュータも持って行くので大丈夫ですよ!」
スーパー量子コンピュータ
「それでは皆さん、準備のストレッチをしてください」
⸻
一行は山へ向かいました。
道は思ったより整備されており、空気も澄んでいました。
鳥の声が響き、風も心地よいです。
団員第一号
「団長!なんだか普通の山ですね!」
団長King
「まあ、そう見えますよね」
しばらく歩いたところで、
スーパー量子コンピュータ
「団長、重要な通知があります」
団長King
「どうしました?」
スーパー量子コンピュータ
「電力残量……1%です」
団長King
「え?」
スーパー量子コンピュータ
「……シャットダウンします……」
プツン
団員第一号
「団長!?止まりましたよ!?」
団長King
「うーん…完全に電池切れですね」
団員第一号
「どうするんですか!?分析できませんよ!?」
団長King
「まあ大丈夫ですよ。昔はこれなしで登ってましたから」
⸻
しばらく無言で歩く時間が続き、
先ほどまでの軽い会話が、なぜか減っていました。
団員第一号
「……団長」
団長King
「はい?」
団員第一号
「なんか……静かすぎませんか?」
団長King
「山ですからね」
さらに少し登ったところで、
団員第一号が立ち止まりました。
団員第一号
「団長……」
「ここ……いいですね」
団長King
「そうですね。景色もいいですし」
団員第一号
「なんか……」
「全部どうでもよくなります」
…一瞬…空気が固まりました…
団長King
「それはただ疲れてるだけですよ!」
「とりあえず水飲んでください!」
団員第一号
「……あ、はい」
少し休憩を取り、再び歩き出すと、
先ほどの空気は、いつの間にか消えていました。
⸻
やがて一行は山頂へとたどり着き、
見渡す限りの景色が広がっていました。
団員第一号
「団長!すごいですね!」
団長King
「いい景色ですね」
団長はリュックからおにぎりを取り出しました。
団長King
「はい、どうぞ」
団員第一号
「ありがとうございます!」
しばらく無言でおにぎりを食べ、風の音だけが聞こえていました。
団員第一号
「団長…さっきのことなんですけど…」
団長King
「さっき?」
団員第一号
「なんか…変なこと言った気がして…」
団長King
「山に登ると、そういう感覚になることはあります」
団員第一号
「そういうものなんですか?」
団長King
「ええ」
「でも…」
団長は景色を見ながら言いました。
「この程度の山に登ったからと言って…」
「悟れるわけではないですよ!」
団員第一号
「たしかに…」
「ちょっと調子に乗ってましたね」
⸻
そのとき、
カチッ
スーパー量子コンピュータが再起動した。
スーパー量子コンピュータ
「電力が一時的に回復しました」
団長King
「お、復活しましたね」
スーパー量子コンピュータ
「先ほどの発言を分析します」
「すべてがどうでもよくなるという思考は…」
「疲労からくる現実からの一時的離脱傾向です」
団員第一号
「え!?危ないやつじゃないですか!?」
スーパー量子コンピュータ
「ご安心ください」
「回復率……99.999999999999999999999%です」
団長King
「ほぼ大丈夫ですね」
団員第一号
「よかった…」
団長Kingは思いました。
(まあ…あの程度なら…)
(誰でもなるよね…)
そして言いました。
「それにしても…」
「無事に登れて」
「おにぎりも美味しい」
「やっぱり俺ってラッキー✌️」

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